不快な暑さはうんざりだけど、効きすぎたエアコンや冷たい飲み物にばかり頼るのも、体のことを思えば避けたいところ。内臓や自律神経に負担をかけずに酷暑を乗り切るには、「体にこもった熱を上手に逃がす」のがポイントです。夏を快適にすごすためのクールダウンのメソッドを、医師でメディカル料理研究家の関由佳さんにうかがいました!
- Profile
- 関 由佳さん
予防内科医。野菜と発酵食品を多く使った料理を得意とし野菜ソムリエやみそソムリエの資格を取得、メディカルフード料理研究家としても活動。近著に『みるみる痩せる!味噌汁ダイエット』(宝島社)、『腸と胃を整える食べるくすり やさい麹』(アスコム)ほか。
体に熱がこもる
原因とトラブル
体の奥からわき上がってくるような不快な熱の原因は、気温の高さばかりでなく、不摂生な生活習慣にあるかもしれません。また体の中に熱を溜め込んだままにしていると、さまざまなトラブルにつながることも。
冷たいものの摂りすぎや暴飲暴食
冷たい飲み物や食べ物をひんぱんに摂っていたり、食べすぎ・飲みすぎが重なると、食べたものがうまく代謝されず、体内に蓄積して余分な熱を発生させる原因になります。特に気温の高い夏場は食欲が落ちて消化吸収力も下がるため、このような食生活を送っているとさらに体に熱や水分が溜まりやすくなります。
運動不足
体内で余った熱は、筋肉を動かし、汗をかくことで発散されます。ところが、暑いからといって冷房の効いた部屋にこもっていると、運動不足になって汗をかかなくなり、熱の逃げ場を失ってしまうことに。筋肉が少ない人は発汗量も少ないので、特に注意が必要です。
睡眠不足
睡眠不足によって自律神経の機能が乱れると、体内の循環がとどこおり、食欲や消化力の低下を招いて、体の熱を溜め込みやすくなってしまいます。
体に熱がこもると
起こりやすいトラブル
以下のように、さまざまな不調を引き起こす原因になります。
- ・頭痛
- ・吐き気
- ・めまい
- ・睡眠不足
- ・下痢や便秘
- ・肌荒れ
- ・むくみ
クールダウンボディの
メリット
足元の冷えや肌の乾燥など、エアコンに頼りきった生活には悩みもつきもの。「冷やす」のではなく、体の余分な熱を「冷ます」ようにすれば、健康面でも美容面でもメリットが!
寝付きがよくなる
暑さを感じたままだと寝苦しさが増し、いつまでも眠れなかったり、途中で目が覚めたりして疲れが取れない…なんてことも。体の熱を冷ますと自律神経のバランスが整い、睡眠の質が改善して心地よく眠れるように!
内臓が冷えない
内臓の冷えは体のさまざまな不調を引き起こし、免疫機能も低下させる、健康の大敵。体の熱を取る食べ物をうまく取り入れることで、内臓を冷やさずに不要な熱を逃がすことができます。
肌荒れが改善する
不要な熱を逃がすと水分代謝の機能も向上するため、体内にとどまっていた水分や老廃物が汗や尿として排出され、肌のコンディションも整います。
むくみがとれる
エアコンによる冷えとむくみは女性にとって悩みのタネ。体の熱を冷まして水の巡りをよくすることで、はれぼったい顔のむくみや重だるいパンパン脚ともサヨナラできます。
体を冷ます
3大ポイント
ねっとりとした暑さがまとわりつくような高温多湿な日本の夏だからこそ、体の熱を冷ますことはとても大切!効率的に体を冷やしたり、旬の野菜を日々の食事に取り入れて、快適な夏時間を過ごしましょう!
POINT 1体を直接冷やす
首や脇の下など、太い血管が皮膚の表面近くを通っているところを冷やすと、効率よく体温を下げることができます。冷たい水にひたしたタオルを当てたり、保冷剤をハンカチやタオルで包んで巻きつけると効果的。ただし、冷やしすぎないように注意しましょう。
POINT 2夏野菜を食べる
体の熱を冷ましてくれる夏野菜や、不要な水分の排出を助けてくれる利尿作用のある食材は、この時期積極的に取り入れて。暑さで弱った胃腸を保護してくれる食材もプラスすれば夏バテも防止できます。調理には消化を助けるスパイスや酢を活用して、上手においしくクールダウン!
◎体の熱を冷ます食材
キュウリ、トマト、ナス、スイカ
◎利尿作用のある食材
トウモロコシ、冬瓜、ハトムギ
◎胃粘膜を保護する食材
オクラ、モロヘイヤ
体の熱を取る&腸もキレイに!
簡単「みそパチョ」レシピ
材料(1人分)
- ・トマト … 中1個
- ・パプリカ … 1/4個
- ・キュウリ … 1/2本
- ・ニンニク … 小さじ1/4
- ・みそ … 小さじ1
- ・オリーブオイル … 小さじ1
- ・水 … 50mL
作り方
すべての材料をミキサーにかけるだけ!
※関さん著書『毎日食べたい!腸活みそレシピ』(海竜社)より
POINT 3通気性・吸湿性の良い服装
ポリエステルなどの化学繊維より、通気性・吸湿性に優れた麻や綿などの天然素材がオススメです。デザインは首元や袖口が広く開いたものを。風が通りやすく、快適性がアップします。
関さんからのメッセージ
夏を快適に過ごすには、消化力を下げない食べ物・飲み物の選び方や、ウォーキングなど日常的にできる軽い運動など、日々のちょっとした心がけがとても大切です。自分の体は自分で守るという意識を持って、生活習慣を見直してみませんか。