きちんとお手入れしているのに繰り返すゆううつなニキビ。思春期の頃と違い、さまざまな原因で起こる大人ニキビの解決には、体の声に耳を傾ける必要があるのかもしれません。今回は、美肌ケアに定評のある山本メディカルセンター院長の齋藤先生に、ニキビができる場所別の原因やケアの方法をうかがいました!
- Profile
- 齋藤 真理子先生
- > 山本メディカルセンター
形成外科学会専門医、分子栄養学認定医、医学博士。2010年に山本メディカルセンターに入職し皮膚科・形成外科を立ち上げる。アンチエイジング分野にも取り組み、メディカルエステ、ドクターズコスメなどの開発・販売も手がける。NHK『あさイチ』などメディア出演も多数。
大人ニキビの場所で
原因究明
ひと口にニキビといっても、できる場所によって原因は異なります。大人ニキビができやすい部位から、体の中で起こっている異変を探ってみましょう。
Tゾーン(眉間・鼻)
もともと皮脂腺が多く、過剰な皮脂分泌が原因の思春期ニキビが現れやすい場所。大人になってできる主な原因には、環境変化によるホルモンバランスの乱れや、化粧品を変えて正常なターンオーバーを崩してしまうことなどが挙げられます。
口のまわり、あご
胃腸の不調、生理やストレスによるホルモンバランスの乱れが大きく関係しています。不規則な生活や睡眠不足も肌の免疫力を低下させます。
ほほ
コロナ禍の中で増えているのが、マスク着用によるほほの皮膚炎(マスク皮膚炎)です。厳密にいうとニキビとは異なり、マスクとの接触による刺激や、マスク内の湿度が上がりカビ(真菌)が繁殖することで、ニキビのような赤い湿疹ができやすくなります。皮膚炎はかゆみを伴い、ニキビは白いプチッとした隆起や痛みがあることが多いです。
おでこ
シャンプーのすすぎ残しや落としきれていないメイクは皮脂を詰まらせ、ニキビ菌が増える原因に。また、前髪を下ろしておでこを覆ってしまうのも皮脂詰まりを招きます。
背中
肩甲骨周辺は角質層が厚く皮脂腺も多いため、そもそも毛穴が詰まりやすく、ニキビ菌が繁殖しやすい環境です。甘いモノばかり食べる生活を送っていると、腸内の悪玉菌が増殖して、背中ニキビにつながることも。
また、よく似た症状に、カビによる赤いブツブツができるマラセチア毛包炎があります。不潔にしていたり汗をかいたままでいるとカビが優位になり、トラブルが起きやすくなります。
大人ニキビの
ケアポイント
ニキビは段階によって色が変わるので、そこから症状の進行状態を知ることができます。一刻も早く治すために、段階別のケアポイントを押さえておきましょう!
白ニキビ
初期の段階。毛穴に皮脂が詰まり、肌表面にプチッと顔を出している状態です。肌を清潔に保ち、皮脂が自然に排出されるのを待つか、フルーツ酸ピーリングなどでやさしく角質を取り除くとよいでしょう。
黒ニキビ
白ニキビが黒く酸化した状態です。基本的に白ニキビと同じですが、余分な角質を浮かして取り去るケアがおすすめ。炭酸水(無糖で高濃度のもの)をガーゼにひたしてパックすると、汚れを吸着する炭酸の効果でおだやかに角質を浮き上がらせることができます。
赤ニキビ
毛穴の中で炎症を起こし、赤く腫れて痛みやかゆみを伴います。炎症の傷が膿んでいる状態なので、触ったり無理に潰すのは厳禁。油分の多いスキンケアは避け、食事内容を見直し、規則正しい生活を送ることが重要です。
黄ニキビ
赤ニキビが悪化して最終段階を迎えた状態です。膿が溜まって腫れ上がり、自分で膿を出そうとするとクレーター状の跡が残る可能性が高いため、医療機関で適切な処置を受けましょう。赤ニキビのケアと同様、食事改善や十分な睡眠が早い回復を促します。
大人ニキビケアのカギは
「食」にあり!
体内では、体を維持するのに重要な働きをするステロイドホルモンが生成されています。ステロイドホルモンは、女性ホルモンや抗ストレスホルモンから優先的に使用され、残った分が免疫力アップや肌の修復に使われます。つまり、ステロイドホルモンの生成能力が低いと、肌の修復に必要な分まで回らない…ということになってしまうのです。
ステロイドホルモンはコレステロールを原材料とし、さまざまな形に変化しながら使用されていきますが、この変化の際に重要なのが鉄分とたんぱく質、ビタミンCです。生成能力アップには、女性が不足しがちな鉄分とたんぱく質を食事でしっかり摂る必要があります。
また、小麦粉のグルテンや牛乳のカゼイン、糖質は腸を荒らし、せっかく摂った栄養の吸収を妨げてしまうため、できるだけ控えましょう。腸内環境の改善には、善玉菌である乳酸菌の摂取が効果的です。
大人ニキビの
解決Q&A
できないようにするのが一番いいけれど、できてしまったら一刻も早くどうにかしたい!大人ニキビの気になること、解決方法をご紹介します。
- Q目立たないようにしたいときは
ファンデで隠してもいい? -
A赤色ニキビや黄色ニキビには厳禁!炎症を起こしているところに、ファンデやコンシーラーを塗るとさらに悪化してしまうことも。白ニキビ、黒ニキビの場合も避けたほうがベター。どうしても気になる時はニキビ肌用を選んで。
- Q紫外線が強い季節。
日やけ止めは塗ってもいい? -
A日やけ止めもファンデ同様ニキビには負担になるものですが、紫外線を浴びると皮脂の酸化と肌老化が進み、かえってニキビの悪化や回復の遅れにつながることも。低刺激の、肌に優しい成分のものを選んで使いましょう。
- Qニキビが跡にならない
ケア方法って? -
A悪化する前に専門医を受診するか、早い段階であれば市販のピーリング剤で皮脂の排出を促してもOK。重要なのは自分で潰さないこと。爪から別の菌が繁殖するおそれがあります。
- Qそれでもうっかり潰しちゃった!
その後のケアは? -
A潰した箇所が赤くなったり痛みがある場合は、とにかく清潔にすること。ニキビ用の抗生剤を塗って回復を待ちましょう。また、ニキビの悪化やシミにつながる日やけは避けてください。
- Qかゆみがあるときはどうすれば?
-
A掻くのは絶対にNG!肌を傷つけ症状をさらに悪化させてしまいます。乾燥がかゆみを引き起こすこともあるので、まずはいつも使っている化粧水や乳液でしっかり保湿を。過度な油分は角栓をふさいでしまうため、オイルなどは避けましょう。
皮膚炎によるかゆみには市販のステロイド軟膏が効果的ですが、ニキビにつけると悪化します。自分で判断できない場合は専門医を受診しましょう。 - Qマスクの刺激が気になるときの
対処法は? -
Aかゆみ対策と同じく、十分な保湿を心がけましょう。保湿によって、外的刺激から肌を守るバリア機能が高まります。マスクが当たる部分にワセリンを塗るのも、肌のクッションになって効果的です。
齋藤先生からの
メッセージ
昨今は免疫力強化の重要性がうたわれていますが、免疫力を上げることは、肌をきれいにすることにもつながります。その近道は食生活を見直すこと。コロナ禍や仕事のストレスをすぐに解消するのは難しいけれど、食事なら変えられるはず。甘いものを控える、鉄分やたんぱく質を多く摂る、といったことを心がけていれば、体も肌の状態も確実によくなりますよ。