首コリさんにとって、寒さで体がちぢこまる冬はつらーい季節。ガチガチに固まったガンコな首コリは、放っておくと痛みだけでなく、メンタルや見た目に悪影響を及ぼすこともあるんです。今回は、首コリ専門の整体院で多くの女性の不調と向き合う整体師の熊田千穂さんに、その原因や解消法を教えていただきました!
- Profile
- 熊田 千穂さん
- > ふらっと整体院
自身もストレートネックからくる不調に悩まされたことから整体を学び、群馬県伊勢崎市に首コリ専門の整体院をオープン。企業への出張講座やカルチャーセンターでの講師、自主開催の勉強会も行っており、健康情報を発信している。
慢性的な
首コリの原因
首にはゆるやかにカーブしているアーチがあり、約5㎏もある頭の重さを支えています。ところが、現代人の多くはこのアーチが失われた状態(=ストレートネック)にあり、実に日本人の9割にその兆候があるとも言われています。ストレートネックになると頭の重心がずれて首に大きな負担がかかり、つらい首コリを引き起こします。
姿勢の悪さ
うつむいたままスマホを見るなど、下向きの姿勢を長く続けていると、左右の耳の下から鎖骨にかけて伸びる胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)が緊張してちぢこまり、首だけが前に出てしまいます。この状態が続くとストレートネックになり、首周りの筋肉に負担がかかって首コリが発生します。
寒さ・冷え
寒い時期は筋肉が固まりやすく、血の巡りやリンパの流れが悪くなります。その結果、老廃物が筋肉の中に溜まってコリが生じ、さらに周辺の神経を圧迫して痛みを引き起こします。
目の疲れ
首の骨(頚椎)は目の神経と大きく関係しています。長時間のデスクワークや細かい作業で目を酷使すると、首コリが生じやすくなります。
高いヒール
高いヒールを履くと腰が反った“反り腰”の状態になります。このとき、上半身でバランスを取ろうとしてゆがみが生じ、首が前に出る「首コリ姿勢」になってしまいます。ヒールを履かない方も日頃の姿勢を確認してみてください。
ストレス
過度な筋肉の緊張と血行不良をもたらすストレスもまた、首コリの大きな要因になります。
首コリが
引き起こすトラブル
「たかが首コリ」とあなどるなかれ。首には自律神経をはじめ多くの神経が通っているうえ、脳と体幹をつなぐ重要な役割を担っています。それだけに、首コリを放置すると全身の健康や、フェイスラインに影響してしまうこともあるんです。
肩こり・腕の疲れ
首の後ろには僧帽筋(そうぼうきん)と呼ばれる大きな筋肉が広がっていて、背中、肩へとつながっているため、どこか1カ所がこると、付近の筋肉も固くこわばります。さらに首コリ、肩コリが悪化すると、つながっている腕の筋肉が固まって腕が上がりづらくなり、血行不良で指先がしびれることもあります。
頭部の不調
首コリで血流が悪くなると脳に十分な酸素を運ぶことができず、頭痛を引き起こしやすくなります。加えて、頭がうまく働かずにボーっとしたり、集中力も低下しがちに。めまいや耳鳴りを起こす人もいます。
自律神経の乱れ
首には自律神経が走っていて、その働きが阻害されると、心身に不調をきたします。寝つきが悪い、気分が落ち込む、イライラしやすい…といった症状は、実は首コリに原因があるかもしれません。首のコリをゆるめることでうつ症状が改善した、というケースもあります。
二重あご・肌のたるみ
フェイスラインのもたつきが気になる人は要注意!首が前に出ていると二重あごになりやすく、重力で皮ふが下がってたるみの原因になります。血の巡りが悪くなるため肌に必要な栄養も届きづらくなり、くすんでツヤのないお疲れ肌に。
首をゆるめる
ストレッチ
首コリ解消にはストレッチが効果的!ただし、刺激が強いと症状を悪化させるおそれがあるので、力を入れず、リラックスした状態で正しく行いましょう。「痛気持ちいい」程度がベスト。翌日に痛みや違和感があればやりすぎなので要注意です。頭を戻したときにふわーっとゆるむ感覚があれば、筋肉がほぐれて血流がよくなったサインです。
①首の後ろを伸ばす
姿勢を正して両手を組んで頭の後ろに置き、手の重みで頭を前に倒します。伸びを感じたら30秒間キープ。次に左手で頭をつかみ(右手は下ろす)、左斜め下にゆっくり押し出して30秒、反対側も同様に行いましょう。3方向に頭を傾け、首筋の後ろ側を気持ちよく伸ばしていきます。
②胸鎖乳突筋(首の側面)を伸ばす
左手を右耳の上に置き、手の重みで頭を左に倒して30秒。このとき右肩が上がらないよう注意します。頭の角度を変えると伸びる箇所も変わります。一番気持ちいいと感じる箇所を重点的に伸ばしましょう。反対側も同様に行います。
③二重あごを防止する
皮ふが引っ張られないよう、鎖骨の少し下あたりを両手で抑え、ゆっくり上を向いて30秒キープします。左斜め上、右斜め上も同様に。毎日続けると首の前側の筋肉が伸び、あごのラインがすっきりします。
◎ストレッチポイント
ストレッチを行うタイミングは、お風呂上りが一番効果的。筋肉が温まって伸びやすくなっているので、冷えないうちにストレッチをすると気持ちよく伸ばせます。湯船にゆっくり浸かってから行いましょう。毎日の習慣にできるのが理想ですが、週3回からでも、体は変わっていきますよ。
逆に、避けた方がよいのは食後30分間。消化中は胃腸の血流が良くなるのですが、ストレッチをして筋肉の血流が良くなると、消化に影響が出る可能性があります。
まだある!
首コリ解消メソッド
上を向く習慣をつける
気が付いたときに上を見上げる、これだけでも首コリには有効です。デスクワークや家事など、私たちは日常の大半を下向きの姿勢で過ごしています。一瞬でもいいので、30分に1回を目安に上を向く習慣をつけましょう。筋肉は動かさないと固くなるため、軽く肩をゆするなど、こまめに体を動かすことも大切です。
首を温める
常に首を温かくしておくことも、首コリをやわらげるポイントです。特に冬場の外出時は、マフラーやネックウォーマーでしっかり首元をカバーしてください。帰宅したら、電子レンジで1~2分温めた蒸しタオルを巻いたり、湯舟に浸かって芯まで温めましょう。首まで浸かるのが難しければ、温まった手で首を包み込むといいですよ。
自分に合う高さの枕を作る
枕選びが難しい首コリさんには、自分で作る枕をおすすめします。二つ折りにした固めのマット(玄関マットやバスマットのように厚みのあるもの)の上に、バスタオルをたたんで重ね、呼吸しやすいと感じる高さに調節してみてください。首の状態によって寝やすい高さが違うこともあるので、そのつど高さを調整していきましょう。
熊田さんからの
メッセージ
「慢性的なものだから」と首コリの改善をあきらめてしまう方は少なくありません。ですが、日常生活の見直しやストレッチで改善することができます。私は以前首コリに悩み、うつ状態で疲れきっていました。首コリが解消された今では体が軽く感じられ、気分も上向き、肌ツヤが良くなって若く見られるようになりました。つらい方はぜひ、ストレッチや改善法をがんばって続けてみてくださいね。