新生活がはじまる春は新しい出会いも多く、初めてづくしで緊張する機会も多いもの。緊張疲れでストレスがたまって、気持ちも見た目もどんよりしてしまうことがないようにしたいですね。そこで今回は「一般社団法人あがり症克服協会」代表理事で、心理カウンセラーの鳥谷朝代さんに、緊張をほぐす方法や緊張しないための準備法などを教えていただきました。
- Profile
- 鳥谷朝代さん
- > 一般社団法人あがり症克服協会
心理カウンセラー。「一般社団法人あがり症克服協会」代表理事、「株式会社スピーチ塾」代表取締役。全国各地のカルチャースクール、学校、企業・団体で年間200回以上の講演活動を行う。著書は『人前で「あがらない人」と「あがる人」の習慣』『人前であがらずに話せる方法』など。
緊張の原因と影響とは?
そもそも、わたしたちはどうして緊張してしまうのでしょうか?緊張の原因と、わたしたちに与える影響について、理解しておきましょう。
緊張の原因
人前に出ることに慣れていない
人前で緊張するのは、公の場でスピーチをしたことがない人が多いです。経験が少ないので緊張するのは当然のことですが、人前で恥をかきたくない、人に弱みを見せたくないという気持ちが無意識に働いてしまうのが、緊張しやすい人の特徴のひとつです。
プレッシャーを感じる
知らない人よりも、知っている人の前のほうが緊張してしまうということも多いです。上司や同僚、部下の前など周りの評価が気になる時や、話す内容が同じでも対象や状況が違う時は、よりプレッシャーを感じて緊張感が増します。
準備や練習不足
自分自身や内容に自信がないと、不安が増して緊張します。「練習するとかえって緊張しそう」「頭が真っ白になると困るので、ノープランで行きたい」と思ってしまいがちですが、それだとうまく行かないことが多いでしょう。
緊張の影響
緊張がわたしたちに与える
身体的・心理的影響
呼吸が速くなる、心臓がバクバクする、血圧が上がる、消化器系の働きが悪くなりお腹が痛くなってくる、声が震える・出ない、手や膝がガクガクする、顔が熱くなる・赤面する、汗が出る、顔が引きつる、気分が悪くなる、人の顔が見られなくなる、などなど…。緊張は、わたしたちにさまざまな影響を与えます。
緊張がさらなる緊張を生む!?
緊張の影響を経験すると「また緊張してしまうのではないか」と想像して、不安や恐怖心が増幅されます。緊張するような状況を避け続けていると、さらに人前に出るのが苦手になったり、新しい経験をするのが億劫になってしまったりと、負のスパイラルに陥ってしまうこともあるため、そうならないようにしたいですね。
緊張しにくい体の作り方
緊張しやすい人の体は、肩や背中が硬直していて、姿勢も悪く、目線も下がっています。また、呼吸が浅く・早いのが特徴です。それらの改善を目指して、緊張しにくい体を作っていきましょう。
筋肉をほぐす
緊張すると、首・手首・足首の3首が硬直してしまい、声や手足の震えを招いてしまうかも。日頃からストレッチをして筋肉をほぐしたり、3首を回したりして、体をやわらかくしなやかな状態に保っておきましょう。
正しい姿勢を作る
心と体は密接につながっています。悪い姿勢のままでいると、脳が「自分は人前で堂々と振る舞えない人間なんだ」と思い込んでしまうことも。「緊張しそうだな」と思う時こそ胸をはり、堂々とした姿勢をとりましょう。
深く呼吸をする
緊張に負けない体作りには、呼吸を深くすることが大切です。腹式呼吸を意識して吸気量を高めることで、声の震えを防いだり、心身にリラックスをもたらすことができます。毎日の生活の中で、深い呼吸を心掛けてみましょう。
緊張しないための準備法
緊張する場面が訪れる前に準備をしておけば、スムーズに対応することができます。直前にどうにかしようと思わず、事前に心構えを作っておくことで、緊張を防ぐだけではなく、コミュニケーションを楽しめるようになります。
リハーサルを行う
苦手意識から行き当たりばったりで対応してしまっては、さらに緊張を招いてしまいます。実際に声を出したり、その場に行ったりして、大事な場面に向けてのリハーサルを行いましょう。頭の中だけでイメージするのではなく、体を動かしてしっかりと練習してみてください。
緊張を抑える食べ物を食べる
心身のバランスを整える神経伝達物質「セロトニン」を作り出す材料になる魚や肉類、大豆や納豆などの豆製品、ナッツ類やバナナを摂りましょう。また、気持ちを落ち着かせる作用があるカルシウムやマグネシウムを含んだ乳製品、緑黄色野菜、海藻類などもおすすめです。
周りの状況に目を向ける、
人の話を聞く
緊張しそうな大事な場面を前にすると、自分の世界に入り込んで周りが見えなくなりがちです。しかし、それでは余計に緊張してしまいます。周りの状況に目を向けて、自分以外の人の話もきちんと聞くようにすること。そのほうが、緊張を手放しやすくなります。
目的を再確認する
失敗してはならない、格好悪いところは見せられない、という思いが緊張を招きます。大事な場面で本当に必要なことや、その目的は何なのか。結婚式のスピーチであれば、新郎新婦にお祝いの気持ちを伝えること、仕事のプレゼンであれば商品やサービスの良さを伝えることが本来の目的です。自分自身を格好良く見せることが目的ではないと理解すると、緊張がやわらぎます。
鳥谷さんからのメッセージ
あがり症や話し下手は必ず克服できます。今回ご紹介させていただいた方法は、重度のあがり症と話し下手を完全克服した私自身と、7万人を超える受講生が実践してきたこと。いつ、どんな場面でも人前に出ることを恐れず、自由に好きに生きられる。そんな人生はまさに「パラダイス」です!ひとりでも多くの方が明るい人生への扉を開け、幸せへの大きな一歩を踏み出されることを願っています。