立ちっぱなし、座りっぱなしなど「〇〇ぱなし」を放置すると、脚のむくみやだるさ、冷えなどの不調が起こりやすくなります。そこで今回は、医学博士・健康アドバイザーの福田千晶先生に「ぱなし」による不調の予防と対策についてお聞きしました。
- Profile
- 福田千晶先生
- > Dr.Chiaki’s Room
医学博士・健康科学アドバイザー。慶應義塾大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、クリニック勤務および嘱託産業医を経験。また健康アドバイザーとして執筆、講演、テレビ・ラジオ番組への出演などで活躍。
“ぱなし”が引き起こす
残念なこと
立ちっぱなしや座りっぱなしなど“ぱなし”の時間が長いと、さまざまな不調が起こります。「だるい、むくむ、冷える」などのお悩みは、もしかしたら“ぱなし”のせいかもしれません!
“ぱなし”がNGな理由
立ちっぱなしは「脚の使い過ぎ」、座りっぱなしは「脚の使わなさすぎ」。どちらも脚や体に負担がかかってしまいます。脚のお悩みトップ3「だるさ・むくみ・冷え」の原因にも“ぱなし”が挙げられます。
“ぱなし”が引き起こすトラブル
脚がだるい
立ちっぱなしや立ち仕事が多い方は、筋肉に溜まった疲労物質が除去されないため、だるさという不快感につながります。また、座りっぱなしやデスクワークが多い方は、脚の筋肉のポンプ作用が働かず血液や水分が停滞して、だるさを感じます。
脚がむくむ
原因のひとつは、体内の水分量が多すぎること。体内の余分な水分が重力で下がり、脚に溜まることでむくみが出ます。もうひとつは、リンパ管の流れが悪くなること。立ちっぱなしで水分が脚に溜まったままだったり、座りっぱなしで脚の筋肉を使わない状態が続くと、水分や老廃物が回収されづらく、脚に溜まってしまうのです。
脚が冷える
脚の血流が低下して、血液と一緒に運ばれるべき熱が足先にまで行き届かないからです。血流の低下は“ぱなし”はもちろん、運動不足やストレス、冷たい食品の摂り過ぎ、薄着、クーラーなどの冷気により、血管が収縮して起こります。
脚のだるさ・むくみ・冷えは、
脚だけの問題じゃない!
脚のお悩みトップ3の原因は、脚だけではなく、肩こりや腰痛、便秘や下痢、生理痛や生理不順などのトラブルの原因にもなります。「たかが脚の不調…」と放っておかないようにしましょう。
“ぱなし中・ぱなし後”の
ケア
立ちっぱなし、座りっぱなしの時間がどうしても長くなってしまう方は“ぱなし中”から不調の予防を行いましょう。また“ぱなし後”のケアも忘れずに。とっても簡単なので、すぐに始めてみませんか?
“ぱなし中”のケア
1時間に1回は、歩く&屈伸運動を
座りっぱなしの方は、1時間に1回は離席して、脚の筋肉を動かしましょう。ずっと席にいなければならない方は、いつもより遠くにランチに行くなどして、活動量を増やして。立ちっぱなしの方は、屈伸運動で脚の筋肉を意識的に刺激し、脚に溜まった血液を引き上げましょう。これは、座りっぱなしの方にもおすすめです。
立って&座って、
かかととつま先の上げ下げ運動を
立ったまま、座ったままでできる、かかとの上げ下げ運動で、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用をサポートしましょう。立った状態で、壁や机に手を添えて、かかとの上げ下げをしたり、座った状態で片足を床と平行に上げ、つま先を体から離したり寄せたりして、筋肉に刺激を与えてみて。
“ぱなし後”のケア
裸足になって、足裏でボールをコロコロ
足裏には全身のツボがあるため、足裏全体を刺激することで、脚のだるさ・むくみ・冷えはもちろん、体のさまざまな不調を改善する効果が期待できます。イスに座った状態でボールを足裏で踏み、体重をかけながらコロコロと前後に転がします。ボールは野球やゴルフボール、おもちゃのスーパーボールなどでもOKです。
ひざ裏~ふくらはぎをラップの芯で
コロコロ
ひざ裏からふくらはぎにかけて、脚の不調に作用するツボがあります。足腰の痛みやだるさ、こむら返りの予防、老廃物の蓄積防止に役立つそれらのツボをいっぺんに刺激するためには、ラップの芯などの筒や棒状のものを使って、ひざ裏からふくらはぎにかけてコロコロと転がすといいでしょう。
毎日できる
“ぱなし”対策
「立ちっぱなし、座りっぱなしはよくない」と分かってはいても、さまざまな都合で“ぱなし”にならざるを得ない場合も…。でも大丈夫!日常生活を少し意識するだけで“ぱなし”の不調を軽減することができます。
体を締め付けない服装を心がける
楽に正座ができないような細身のパンツや、体を締め付けるストッキングや下着などは、血行を悪くします。筋肉や関節の動きを妨げない服装を心がけましょう。
体の冷えは溜めずにすぐ解消
体が冷えてしまうと、脚はすぐにポカポカにはなりません。冷えは蓄積しないことが大切です。冷えを感じたら、すぐに何かを羽織ったり、場所を移動するなどして、冷えを重症化させないようにしましょう。もちろん、冷えの予防も忘れずに。
有酸素運動を取り入れる
筋力を低下させないためにも、日常生活に有酸素運動を取り入れましょう。慣れないうちは1日10分程度から始めてみて。駅まで早足で歩いたり、階段を使うなど、こまめに体を動かすクセをつけることが大事です。
余分な水分を排出し、
体を温める食べ物を摂取する
夏野菜やナッツ類、海藻類など、カリウムが豊富な食べ物は、体内の余分な水分を排出してくれます。また、ショウガやトウガラシなどのスパイスや、寒い季節や地方で採れるものは、体を温めてくれます。
福田先生からのメッセージ
脚の不調を感じても「いつものこと」と軽く片付けていませんか?それでも頑張り続ける脚は、とても健気な存在です。毎日、私たちの生活を支え続けてくれている脚に、もっと感謝をして、大事にしてみましょう。そして、元気な脚で日々をもっと楽しく過ごしてみませんか?