毎日の入浴で冬でも冷えないカラダに!~冬の温浴習慣~

厚着をしてもなかなか体が温まらない。温めてもすぐに冷えてしまう。特に女性にとって“冷え”は大敵です。そこで“冷え”を乗り切るために活用したいのが“お風呂”。毎日の入浴習慣に少し工夫を加えることで、冷えないカラダづくりができるといいですよね?そこで今回は美容ライターの安田光絵さんに、体を温めて冷えないカラダづくりに効果的な入浴方法を教えていただきました。

Profile
安田光絵さん

美容・恋愛ライター、ウェルネスフードアドバイザー。『anan』『婦人公論』をはじめとする、数々の雑誌やウェブサイトで記事やコラムを執筆。国内外200件以上のエステサロン等を取材。オーガスト・ハーゲスハイマーの著書『スリムな身体で美しい人はこう食べている』(中央公論新社)などの編集に関わったことを機に、アンチエイジング食の提案やセミナー活動なども行う。

CHAPTER 1
シャワーだけじゃNG!

湯船に浸かる
メリット

「忙しい」「面倒」という理由から、入浴はシャワーだけで済ませる方もいらっしゃると思います。湯船に浸かることで体を温めるだけでなく、ゆったりした時間を過ごすことで得られる効果もあります。湯船に浸かるメリットをご紹介します。

冷え・疲労回復

湯船に浸かる一番のメリットは、体を温めることです。シャワーだけでは汚れを落とせても体を温めることは難しいもの。湯船に浸かることで、血行・発汗が促進され、新陳代謝がアップ。さらに、全身が水圧によるマッサージを受けている状態になるため、筋肉がリラックス状態になり、疲れを癒すことができます。

ストレス発散

水の浮力を受けることで、重力のストレスを軽減できて心身ともにリラックスをすることができます。そして幸福ホルモンとも呼ばれている「セロトニン」が脳内から多く分泌されるようになります。体だけでなく、心も疲れたなと感じる時は湯船に浸かるよう心がけましょう。

睡眠の質を高める

体温を少しずつ下げることで、眠りへと導入していくため、ある程度体温が上がっていないと寝つきが悪くなってしまいます。湯船に浸かって体温を上げておくことで、入眠一連の流れがスムーズに行えるようになり、入眠時間を短くして睡眠の質を高めることができるのです。

安田さんからの
ワンポイントアドバイス

湯船に浸かってゆっくりと体を温めることでさまざまなメリットがあります。シャワーだけで済ませている方は、まずはゆっくり湯船に浸かってみましょう。

CHAPTER 2
熱めのお湯はNG!?

冬の入浴時の
注意点

冷え解消のために「体を温めたい!」と思って、つい熱めのお風呂に入りたくなりますよね。しかし、実は冬の入浴には注意が必要。暖房のきいた部屋から寒い脱衣所、温かい湯船という急激な温度変化によってもたらされる血圧の乱高下が、体調不良を招くことも。冬の入浴方法の注意点をしっかり守りましょう。

入浴前に、脱衣所や浴室を温めておく

体が冷えた状態で突然温かいお湯に触れると、心肺に負担をかけてしまいます。入浴前にバスタブのふたを開ける、短時間温かいシャワーを流すなど、あらかじめ蒸気で浴室を温めておきましょう。

お湯の温度は38℃~40℃で、約10分の入浴を目安に

冬場に入浴するときのお湯の温度は38℃~40℃くらいがおすすめです。ぬるめのお湯に約10~15分浸かると、熱めのお湯に短時間浸かるよりも体が芯から温まり、血流が巡りやすくなる働きが期待できます。また、この温度は“副交感神経”を優位にして、心身ともにリラックス状態へと導きます。

半身浴からスタートして、その後肩までしっかり浸かる

温かいお湯に突然首まで浸かると、心肺に負担をかける要因になります。まずはみぞおちのあたりまでつかる“半身浴”からスタートしましょう。徐々に体が温まったところで、特に冬場は首までしっかり浸かり、全身の血行の巡りを促してあげましょう。

安田さんからの
ワンポイントアドバイス

飲酒後すぐの入浴は避ける、入浴前にコップ1杯の水を飲んで水分補給するなども心がけてくださいね。

CHAPTER 3
やっぱり冬は温泉に入りたくなる!

温まり効果が持続する
「炭酸泉」

「冷え解消=温まる」といえば温泉を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?日本の天然温泉は単純温泉、塩化物泉、硫酸塩泉、イオン泉など、さまざまな種類に分類されますが、中でも炭酸泉は、血行を促進して温まり効果が持続するといわれています。日本でも数少ない炭酸泉「大分県の長湯温泉」はお湯の温度が低いながらも長時間入浴することで体が温まり、療養泉としても有名です。

ヨーロッパでは医療として用いられる「炭酸泉」

炭酸泉は日本よりもヨーロッパに多く存在します。中でもドイツは古代ローマ時代から存在する温泉保養地が多数あり、炭酸泉は血管、心臓などの障害を治療するほか、リハビリテーションにも使用されています。 炭酸ガスは源泉が低温なほうが大量に包含できるため、火山活動の盛んな日本の源泉は高温となり、炭酸泉が少ないといわれています。日本で湯治といえば熱い温泉につかることをイメージしますが、低温の温泉が多いヨーロッパではぬるめのお湯に長時間つかる入浴療法が一般的のようです。

血管を拡張して血行を促進する働きが期待できる

各地で愛されている炭酸泉の効能を支えているのが、炭酸ガスです。炭酸ガスが溶け込んだ炭酸泉などに浸かると、入浴の血行促進効果をさらに高め、血流量も増え、温まった血液が体全体を循環します。そのため、体の深部まで温まるだけでなく、さら湯に浸かった時と比べると、入浴後の体温が高いまま持続します。

安田さんからの
ワンポイントアドバイス

日本では昔から「湯治」という言葉がありますが、温泉の泉質によってその効果が異なります。最近では、日本でも炭酸泉の効果が注目されていて、特に冷え性の方にはおすすめの温泉です。

CHAPTER 4
入浴剤を上手に活用しよう!

冷えない体づくりの
ポイント

毎日温泉に入れればいいのですが、なかなかそうはいかないですよね。まずは湯船にゆっくり浸かって体を温めることからはじめてみましょう。さらに、入浴剤を上手に利用して最大限の入浴効果を得られるよう工夫してみましょう。

  • 重炭酸イオンで湯冷めしづらく、ポカポカが持続
  • さら湯と重炭酸湯の比較グラフ

ポカポカ効果をもたらす「重炭酸イオン」

ドイツや大分の長湯温泉などの自然炭酸泉のpHは6.7〜7.1の中性です。このpHでは炭酸ガスは湯中に存在できず、ほとんどが「重炭酸イオン」に変化しています。この「重炭酸イオン」が自然炭酸泉の温浴効果や清浄効果を高め、血流を上げて体を温めているものと考えられています。
自宅でも「重炭酸イオン」が溶けたお湯に入浴することで、冷え知らずのポカポカ効果を体感することができます。

自宅でできる重炭酸温浴法

重炭酸の溶けた41℃以下のぬるめのお湯にゆったり15分以上浸かるのが「重炭酸温浴法」です。温浴効果で血流を促進するので、体のすみずみまで温まり、入浴後もポカポカが続きます。
少しぬるく感じる温度でじっくり芯から温め、体温そのものを上げて体質を改善することを目的としています。
※療養目的の場合は20分以上の入浴が効果的です。

入浴タイミング

入浴直後は体が大変温まっているので、就寝の30~60分前に入浴を終えていることがおすすめです。

安田さんからの
メッセージ

つらい冷え性を解消するには、まず体温を上げることが必要です。そのためには、毎日入浴で効率的に体を温めて、冷えない体づくりをすることが大切。まずは毎日ゆっくり湯船に浸かって体をじっくり温めることからはじめてましょう。最近では手軽に買える重炭酸の入浴剤もあるので利用するのもおすすめです。

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