スパイスといえば、エスニック料理や辛い料理に使うもの…というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。スパイスは、ドリンクに加えたり、スイーツにかけたり、実はいろんな使い方ができるのです。しかも、美容・健康にとってもうれしい作用が期待できる、女性の強い味方なのです!今回は、スパイス調合家・料理家の日沼紀子先生にアドバイスをいただき、スパイスの種類やその効能、日常使いの方法などをご紹介します!
- Profile
- 日沼紀子先生
- > オフィシャルサイト
スパイス調合家/スパイス料理家。食品メーカーでスパイス商品開発に携わった後、カフェオーナーとしてスパイスやハーブを使ったオリジナル料理を提供。現在は、商品・料理レシピの開発、ワークショップ開催のほか、独自に調合したスパイスやハーブティーなどを販売する「atelierCROISEMENT(アトリエクロワズモン)」を主宰。著書に『スパイス&ハーブ料理の発想と組み立て』『クミン料理の発想と組み立て』(ともに誠文堂新光社)、『日常づかいのシナモン・レシピ』(産業編集センター)がある。
スパイスって
こんなにスゴイ!
さまざまな料理を引き立ててくれるスパイスですが、味や風味はもちろん、私たちにとって有用な機能があることは、古代から経験的に知られています。スパイスの素晴らしさを知ると、料理に使ってみたくなりますよ!
スパイスの基本の使い方
香りづけ
スパイスの一番の特長は“香り”。食材の味や風味を際立たせ、料理をさらにおいしくします。
色づけ
サフランやターメリックなど着色効果のあるスパイスは、視覚的に料理をおいしそうに見せてくれます。
味つけ
唐辛子などの辛みやシナモンなどの甘みで味にアクセントをつけたり、料理全体の味を引き締めます。
臭み消し
ネギやセージなどのスパイスは、肉や魚の生臭さや野菜の青臭さなどを感じにくくしてくれます。
まだまだスゴイ!スパイスの底力
食欲アップで夏バテに負けない!
食欲がダウンするこの時季でも、スパイスをきかせた料理が食欲アップをサポートしてくれます。「夏バテ気味だな」と感じたら、毎日の食事にスパイスを取り入れてみてください。
塩分&カロリーダウンで食事がヘルシーに!
スパイスを使うことで、食材の味や風味を引き出すため、使用する調味料もシンプルに。塩分もカロリーも控えめのおいしい料理に仕上がります。
殺菌・抗菌・防腐にもお役立ち!
スパイスの精油成分には、殺菌、抗菌作用を持つものもあります。そのため、ピクルスなどに入れると防腐作用も◎!この季節の料理にしっかり火を入れて活用すると、より安心ですね。
日沼先生からの
ワンポイントアドバイス
スパイスを知ることで、より親しみをもって楽しめるようになるかと思います。最近ではスーパーでもさまざまなスパイスがあるので、ぜひ気軽に料理に活用してみてくださいね。
スパイスの
簡単な応用方法
スパイスを使った料理は特別なもの、そんな風に感じていらっしゃる方も多いかもしれません。しかしスパイスは、料理はもちろん、いろんな使い方ができます!
ドリンクに入れて飲む
チャイに添えられたシナモンや、ココアに甘い香りと風味をもたらすバニラビーンズもスパイスのひとつ。ドリンクにスパイスが加わることで、おいしさが格段に増します。
お菓子に加えてアクセントに
クッキーなどの焼き菓子に加えたり、フルーツと一緒にシロップに漬けこんだりと、お菓子にも使われています。クローブの甘さやカルダモンのさわやかな香りなどはお菓子と合います。
オイルと合わせて香りをつける
スパイスを油で熱することで、スパイスの有効成分が油に移ります。代表的なのが、ごま油で唐辛子を熱したラー油。調理の仕上げに使って香りづけにも◎。ただし、加熱したオイルは酸化しやすいので、早めに使い切りましょう。
日沼先生からの
ワンポイントアドバイス
スパイスをお手持ちの調味料と合わせると、香りや風味がスパイシーに。醤油に花椒や生姜など、お好みのスパイスを漬けこんで作り置きしておくと便利ですね。
女性におすすめの
スパイスたち
世界には、古くから愛されてきたスパイスがいっぱい!なかでも女性におすすめのスパイスを紹介します。料理などに使って、香りや風味を楽しんでください。
シナモンで「おだやか美人」に
抗菌作用があります。また、鎮静、鎮痛作用があるとされ、血圧低下や解熱作用が期待されています。中国医学では「陽」の強壮薬としても使用されています。
【 使い方 】
甘みや甘い香りがある料理に使うと、さらに甘さが引き立ちます。スティックやパウダーを用途に応じて使い分けます。
ターメリックで「すこやか美人」に
コレステロールを下げたり、胃や肝臓を保護する作用があるとされています。昨今は「ウコン」と言われ人気ですが、昔から肝臓や消化器系の疾患に用いられていたのだとか。
【 使い方 】
炒め物や揚げ物など、油を使った料理に使うと、あの特徴的な色味が際立ちます。パウダーで使うのが一般的。
フェンネルで「スッキリ美人」に
胃痛緩和、膨満の薬として古くから利用されています。またインドでは、口臭予防のために噛まれているそう。フェンネルに含まれるアネトールには女性ホルモン様作用もあるとされています。
【 使い方 】
ニンジンやキャベツ、クセのある野菜や甲殻類などと好相性。パウダーはカレー粉のベースに使われることが多いです。
ローリエで「癒し美人」に
ローリエは消化促進作用がうたわれていますので、食欲がない時の料理に取り入れてみて。また、ローリエから抽出された精油はごく薄い濃度でのばして、筋肉痛や関節痛の緩和にも使われているのだとか。
【 使い方 】
ゆっくりと香りが出るため、マリネやポトフなどの煮込み料理に向いています。煮込みすぎると苦みが出るので途中で取り出して。
日沼先生からの
ワンポイントアドバイス
スパイスは何より料理をおいしくしてくれます。いろんなスパイスを楽しく試してみて、おいしく食事をすることで、心も体もハッピーになることが、一番のキレイへの近道かもしれませんね。
注目したい
和のスパイス
日本人になじみの深い山椒や柚子も、立派なスパイスです。そんな和のスパイスをもっと楽しみながら、さらにおいしく、毎日の料理に活用してみませんか?
フルーティな「柚子」の香り
血行促進、疲労回復作用、リラックス効果もあると言われています。柚子のさわやかな柑橘香は嗅ぐだけで元気になれそうです。
【 使い方 】
香りづけには、そぎ切りや千切りにした皮を料理に添えて。マーマレードを作ったり、砂糖漬けにした柚子を柚子茶にするのも◎。
さわやかな「山椒」の香り
胃腸をすこやかに保ったり、痛みを鎮める作用がうたわれています。辛みを加える目的ではなく、香りを楽しむために料理に用いられています。
【 使い方 】
山椒の実は、炒めたり煮込んだりして使います。粉山椒は脂っぽさを抑えるために、うなぎや焼き鳥などにかけます。
フレッシュな「ワサビ」の香り
ワサビの持つ抗菌作用はこの季節にはうれしいですね。また、その香りや辛みが口内をさっぱりとさせ、リフレッシュにも一役買ってくれそうです。
【 使い方 】
根の部分をすりおろして薬味として使います。おろすときは、鮫皮おろしを使うとキメが細かく上品な仕上がりになりますよ。
みずみずしい「シソ」の香り
ワサビと同様、抗菌作用がありますので、刺身の付け合わせにふさわしいといえるでしょう。さわやかな香味野菜として和食に多用されています。
【 使い方 】
香りを出したい時は、手のひらに挟んで叩いてからそえるといいでしょう。みじん切りにして麺料理やサラダに加えてもいいですね。
日沼先生からの
メッセージ
スパイスは、素材と素材をつなぐ糊のような役割を果たしてくれます。使い過ぎないことさえ気を付ければ、スパイスによって料理全体のバランスがよくなります。 スパイス料理は、食材の持ち味とスパイスの個性をどう融合させるかということが基本。ひとつまみのスパイスを使うだけで、料理の仕上がりが今までとは格段に違ってくるのです。 スパイスの魔法がみなさまの元へ届きますように…!
※参考文献:日沼紀子著「スパイス&ハーブ料理の発想と組み立て」「クミン料理の発想と組み立て」(ともに誠文堂新光社)