実は夏よりニオってる…?「冬の汗」対策

暖かすぎる室内や高機能なヒートインナーの着用で、意外と汗をかく機会が多い冬。しかも、この季節にかく汗は夏よりニオっているような気も...!?今回は皮膚科医の藤本智子先生に、汗のメカニズムや、冬の汗対策法についてうかがいました!

皮膚科専門医。浜松医科大学医学部医学科卒業後、東京医科歯科大学、多摩南部地域病院、都立大塚病院での皮膚科治療を経て、2017年に池袋西口ふくろう皮膚科クリニックを開院。汗疾患の治療に力を入れており、多汗症治療のスペシャリストとして知られている。

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CHAPTER 1
どうして?

冬の汗がニオう理由

シャツが張り付くほど汗をかいているのに、混んだ電車内でコートを脱ぐことができず、ひたすらガマン―こんな経験がある方も多いのでは?多くの人が集まる場所でかく汗は、不快な上にニオイが気になって落ち着かないもの。まずは汗のメカニズムや冬の汗の特徴を知り、対策につなげましょう。

汗のメカニズム

体温調節の役割を担い、季節を問わず、気温や湿度が上昇したときに発汗します。汗は血液からつくられ、その99%は水分。残りは塩分と天然保湿因子、抗菌ペプチドなどで構成されています。汗の質も、季節や環境による違いはありません。

汗をかかないとどうなる?

汗が出ないと体の深部に熱がこもり、だるさや熱中症を招く原因になることも。また、汗に含まれる天然保湿因子は肌のうるおいを保ち、抗菌ペプチドは病原菌から体を守る作用があります。悩みのタネになりがちな汗ですが、健康を維持する上ではとても重要な役割を果たしています。

冬でもワキ汗が気になるのはなぜ?

脇の下は体温の変化を感じ取りやすく、いち早く汗をかき始める部位。ワキ汗が多いと感じるのはこのためです。同様に背中や体幹部も体温変化に対する反応がよく、汗をかきやすい部位と言えます。

冬なのに
「ドバッと汗をかく」理由は?

運動不足だと、冬の気温の低さもあいまって汗腺の働きが低下するため、少し動いただけで体が過剰に反応し、一気に吹き出すような汗のかき方になります。通常、体に必要な塩分は血液に再吸収され、不要な水分だけが汗として排出されますが、ドバッとかく汗は再吸収が追いつかず、塩分濃度の高いベタベタしたものに。またこれとは別に、女性はホルモンバランスの乱れにより大量の汗をかく(ホットフラッシュ)こともあります。

冬の汗はなぜニオう?

汗そのものは無臭ですが、皮膚表面についた皮脂などと混ざって雑菌が発生するとニオイが発生します。厚手の服を重ね着することの多い冬は汗がこもりやすく、雑菌の温床に。またニットやコートなど、頻繁に洗濯できない衣類を着続けることによって、服についた汗に雑菌が繁殖し、ニオイを発します。

CHAPTER 2
冬こそ実践!

快適キープの汗対策

冬の汗をニオイに変えないためには、肌を清潔に保ち、服の素材やメンテナンスに気を配ることがポイント!ちょっとした工夫で、快適さをキープできるはず。

吸湿性・速乾性の
高いインナーを選ぶ

肌を清潔に保つには、汗をよく吸いすぐに発散させる素材のインナーが効果的。気温変化が大きい山でも快適に過ごせるよう開発された登山用インナーは、冬の汗対策としてもおすすめです。ウール混のものなら、保温性も高く◎。

アウターは脱ぎ着しやすいものを

高密度のアウターは暖かいものの、通気性が悪いぶん汗がこもりがち。こうした素材は避け、ゆったりめのデザインで、脱ぎ着しやすいものを選ぶとよいでしょう。また、コートの襟元などに汗が染み込むとニオイの元になるので、汗かきさんは洗える素材のアウターや、マフラー・ストールを活用しましょう。

汗をかく習慣をつける

思わぬ場面でドバッと大量の汗をかかぬよう、軽い運動や毎日の入浴で発汗能力を高めておくことも大切です。また入浴時、ニオイが気になるからといって洗いすぎると、皮膚に必要な常在菌まで取り去ってしまうことも。洗浄料をよく泡立て、汗がこもりやすい脇の下や陰部、足の指の間を中心に優しく洗って。

香りの強い食材を控える

血液は食事と関係が深く、その血液からつくられている汗も当然、食べたものの影響を受けます。香りの強いスパイス類やニンニク、ニラなどを摂ると、汗が気化(蒸発)するときに臭うことがあるため、気になる場合は控えましょう。

デオドラント・制汗剤を味方に

電車で通勤している、暖房の効いた室内で過ごす時間が長い方は、夏だけでなく冬もデオドラントアイテムや制汗剤で対策を。「ニオってるかも…」のストレスがかなり軽減されるはず。

CHAPTER 3
汗をかいたら!

出先での
ニオイ対処法

ニオイ対策は「かいた汗を放っておかない」のが鉄則!心身ともに気持ちよく過ごすためにも、出先でかいた汗は、市販のアイテムも活用して早めにケアを。

水を含ませたタオルで拭く

肌に残った汗は、水を含ませたタオルや携帯用のボディシートで早めに拭き取りましょう。雑菌の繁殖を抑え、ニオイの発生を防ぐことができます。

服は消臭スプレーでケア

アウターを脱いだら、衣服用の消臭スプレーでケアする習慣を。除菌もできるタイプを選べばなおよいでしょう。定期的な洗濯やクリーニングもお忘れなく。

足元の汗対策も抜かりなく

足は汗腺が多く、また靴で蒸れてニオイが発生しやすい箇所。座敷での食事など、外出先で靴を脱ぐ必要があるときは靴下を交換する、足の指の間を拭くなどの対処を。急なお誘いにもあわてずに済むよう、汗を吸う消臭タイプの靴の中敷きを使う、蒸れにくい5本指ソックスを履く、同じ靴を続けて履かない、といった対策も取り入れて。

藤本先生からのメッセージ

藤本智子先生日本人はもともと非常に清潔な民族ということもあって、個人的には「気にし過ぎ」のケースがほとんどだと思います。本当に自分が気にしているようなニオイなのかどうか、親しい人に確認してもらうのもひとつの手。ニオイという正体不明の敵と戦うよりも、デオドラント剤やインナーなどを活用しつつ、前向きに過ごす方策を考えてほしいな、と思います。汗やニオイの悩みをどうしても手放せない方は、さまざまな治療法があるので、病院で相談してみてください。

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