肌見せの季節に気になる、ひじやひざの黒ずみ。どんなに暑くても「恥ずかしいから半袖やスカートは着ない!」という方も少なくないのでは?黒ずみの改善は、日々のこまめなケアが重要です。今回は、予防のために心がけるべきポイントやケア方法について、皮膚科医の平田雅子先生にうかがいました!
- Profile
- 平田 雅子先生
- > 私のクリニック目白
私のクリニック目白理事長兼院長。医学博士・皮膚科専門医。東京医科大学病院皮膚科での勤務後、皮膚科の枠を超え総合的な女性医療に携わる。2003年に私のクリニック目白を開設、さまざまな不調を抱える多くの女性のサポートにあたっている。
ひじ・ひざが
黒ずむ要因
肌はさまざまなダメージを感知したときに、メラニン色素の層をつくって自らを守ろうとするはたらきがあります。このとき、体外に排出されずにとどまったメラニンの蓄積が黒ずみ(=色素沈着)として表れます。
刺激・摩擦
黒ずみをつくる最大の要因が、物理的な刺激や摩擦です。皮膚のすぐ下に骨があるひじやひざは、もともと外からの刺激を受けやすい部位。刺激を受けると角質を厚くしたりメラニンを過剰に分泌して自らを守ろうとするため、ゴワつきや黒ずみが生じやすくなります。
乾燥
肌の乾燥も黒ずみを招く要因のひとつ。ターンオーバーが乱れ、本来排出されるはずのメラニンが肌の内部に蓄積されて色素沈着を起こすことも。ひじやひざは曲げたり伸ばしたり動かすことが多く、特に乾燥しやすいパーツであるだけに、対策はマスト!
代謝機能の低下
年齢を経るごとに肌のターンオーバー(代謝)の周期は長くなります。そのため、排出されなかったメラニンが長く肌の内部にとどまることになり、色素沈着を起こしやすくなります。
紫外線
必要以上に紫外線を浴びるとメラニンが大量に生成されるのも、紫外線のダメージから肌を守る防御反応がはたらくため。もともと色素沈着している箇所は紫外線の影響を受けやすくなっているので、UVケアを怠るとさらに黒ずみが目立つように。
黒ずみをつくる
NG習慣
黒ずみ予防にはまず「刺激を与えない」こと!ひとつひとつは小さな刺激でも、日常の中で繰り返すうちに頑固な黒ずみにつながってしまうこともあります。無意識に行っている習慣やクセがないかチェックしてみて。
ひじをつく
デスクワーク中に片ひじをついたり、考えごとをしながら頬づえをついたりと、無意識にひじをついていることって多いもの。刺激を受けやすい箇所は皮膚を守るために角層も厚くなるため、日常的に行っていると硬く黒ずんだひじに。
ひざ立ちの姿勢が多い
床にひざをつく機会が多い保育士さんや茶道・華道の先生は、ひざの黒ずみに悩んでいる方が多いよう。床の拭き掃除など、ひざ立ちの姿勢を取らざるを得ないときは、ひざ用のサポーターを着用して保護を。
ゴシゴシ洗う・掻く
ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗ったり、角質を落とそうと軽石でこすったりするのは絶対NG!刺激でメラニンの産生が過剰になり、さらに黒ずみが進んでしまいます。虫に刺された場合も、肌が傷つくほど掻くと色素沈着を起こすので注意。
硬い素材の服を着る
高密度で織られた生地やハリのあるリネン生地など、硬い素材を使用した服は肌がこすれて刺激になることも。直接肌に当たらないよう裏地付きのものを選ぶか、柔らかい素材のインナーで調整を。
黒ずみデイリーケア
長年の蓄積である黒ずみをやっつけるには、「こまめな保湿」が最大のポイント!スキンケアやボディケアのついでに、あるいは仕事や家事の合間に習慣づけると続けやすいはず。
やさしく洗う
入浴時のゴシゴシ洗いは×。石鹸やボディーソープをたっぷり泡立て、やさしく手洗いを。古い角質をオフするスクラブも強すぎると逆効果になるので、どうしても気になるときだけ力を入れずに行って。
保湿は念入りに
普段ボディーローションやクリームを塗ってはいても、ひじやひざは見落としやすい箇所。顔と同じように丁寧にケアしましょう。顔のシートパックを小さくカットして、スキンケアのついでにひじ・ひざに貼るのも◎。パックの後は必ず油分の入ったローションやクリームでふたをして。
こまめに塗る
ひじやひざの黒ずみには、週に一度のスペシャルケアよりもこまめな「ちょこちょこ塗り」の方が効果的!ハンドクリームを塗るついでにひじにも伸ばす、すぐ塗れるよう目につくところにクリームを置いておくなど、いつでも保湿できる環境を整えておくことが改善の近道です。
UV対策を万全に
顔と同じように、ひじ・ひざのUV対策も抜かりなく。関節は塗り残しやすく、またよく動かす部分でもあるので、外出時はこまめに日やけ止めを塗り直して。
頑固な黒ずみは皮膚科に相談
日々のケアを継続してもきれいにならない…という場合は、一度皮膚科に相談してみましょう。生活様式によって内容は異なりますが、ピーリングや塗り薬、肝斑やシミ治療に用いる飲み薬(トラネキサム酸やビタミンC)を取り入れた治療で改善が期待できます。
平田先生からのメッセージ
生きていることは老化に向かうことでもあり、色素沈着も避けられないものではありますが、生活習慣の改善や日々のケアによって、そのスピードを遅らせることはできます。ひじやひざの黒ずみは命に関わるものではないので軽視されがちですが、意外と人に見られる部位でもあり、気になる方にとっては重要な問題。悩みが解消されない場合は皮膚科で相談してみてください。