口のネバつきや口臭が気になることってありませんか?それって実は、マスク生活で密かに進行してしまった「ドライマウス」のサインかも。口の中のうるおいは口腔内の環境を整えるだけでなく、全身の健康やアンチエイジングにも深く関わっているんです!今回は歯科医師の宝田恭子先生に、ドライマウスを予防する方法や、唾液の分泌を促すエクササイズを教えていただきました!
東京歯科大学卒業、同保存科勤務を経て宝田歯科三代目を継承。日本アンチエイジング歯科学会監事。毎日の診療に加え、執筆、講演会、メディア出演等で活躍中。著書に『「顔面地滑り」をくい止める!宝田式速攻5分顔筋リフトアップ』(PHP研究所)、『唾液美人でエイジレス&きれい』(インプレス※Kindle版のみ)など多数。9月には「宝田恭子顔面地滑りをくい止めるトレーニングセミナー」も開催。
ドライマウスで
起こるトラブル
主に三大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)から分泌される唾液の量は、1日1リットルほど。しかし、ドライマウス時にはその半分以下になるといわれています。十分な唾液量がないと不快なだけでなく、さまざまな健康上の問題を引き起こしてしまうことも!
チェックリスト
- 口の中がネバネバする
- 口臭が気になる
- 薬・サプリを複数服用している
- ひび割れるほど唇が乾燥する
- 水やお茶がないと食事できない
- イライラすることが多い
- 口呼吸になっている
◎ドライマウスが起こるポイント
- ・マスクの息苦しさから口呼吸になり、マスクを外している時も口がポカンと開いてしまう人が増えています。唾液が蒸発しやすくなり、口の中や唇が乾く原因に。
- ・過緊張(交感神経が過剰に緊張した状態)が続くと口が乾きやすくなります。
- ・抗ヒスタミン薬、利尿剤などには唾液の分泌を抑制する成分が含まれているため、複数の薬やサプリを服用している場合は一度成分をチェックしてみましょう。
唾液が減るとどうなる?
意外なトラブルも!
口のネバつき、不快感がある
唾液量が減ってネバつきが生じると「話す」「噛む」「味わう」といった日常生活に欠かせない機能が低下して、不快感につながります。
口臭が気になる
口臭の原因となる嫌気性菌は、唾液分泌の低下によって爆発的に増殖します。強い緊張やストレス状態にあるとき口臭が発生するのはこのため。一時的なものなら気にする必要はありませんが、症状が続くとそれ自体がストレスになることも。
虫歯や歯周病になりやすい
唾液には飲食によって酸性に傾いた口の中を中和して中性に戻す働きがあり、唾液に含まれるカルシウムやフッ素、リン酸イオンは、歯の表面のエナメル質と結合して歯を修復し、虫歯を防いでいます。つまり、唾液の力を借りられないと虫歯になりやすいのです。また、乾燥した口の中は細菌にとって絶好の繁殖環境。歯周病も進行しやすくなります。
風邪や感染症になりやすい
人間にとって機能的な呼吸は鼻呼吸。鼻が空気中の異物をふるい落とし、空気を適温に温めて体内に送り込むエアコンの役割を果たしているからです。口呼吸は細菌やウイルスから体を守る唾液を蒸発させ、いわばノーガードの状態で異物を含んだ空気を直接体内に取り込んでしまうため、風邪や感染症の発症リスクが高まります。
活性酸素が増えて老化につながる
唾液は抗酸化作用があり、活性酸素の発生を抑制してくれます。唾液量が減ることによって体内の活性酸素が増え、老化や病気を引き寄せやすくなってしまいます。
すぐできる
ドライマウス対策
調子がイマイチ、疲れがたまっている…そんな時、口の乾きを感じることはありませんか?唾液の分泌は体調と深くつながっていて、ある意味自分のコンディションを映すバロメーターのようなもの。思い当たるふしがあれば、まずは生活習慣を見直してみて。
正しい舌の位置を意識する
マスク着用で口呼吸になっている人は、舌の筋肉が衰え、舌が下に落ち込んだ「低位舌」の状態にあるのかもしれません。正しい舌の位置は、舌の3分の1が上あごの前歯の裏についている状態。低位舌は口が開きやすくなり、フェイスラインのゆるみにもつながるため、1日1回は意識して正しい位置を定着させましょう。
刺激物・塩分を控える
カフェインやニコチン(タバコ)、アルコールには唾液の分泌を減らす作用があります。また塩分の摂り過ぎも口の中の乾燥を助長するため、できるだけ控えめに。
よく噛んでゆっくり食べる
唾液の分泌はそしゃく時にもっとも活性化します。食事はゆっくりと、口の中の唾液腺を刺激するようによく噛んで食べましょう。
リラックスできる環境を整える
体調を整えると唾液も分泌されやすくなります。調子が悪いと感じる日は、夜ふかしせず早めに寝ること。また、忙しくストレスを抱えている人は一人でぼーっとする時間をつくるなど、リラックスできる環境を整えることが大切です。
唾液を増やす
マッサージ
唾液の分泌を促すには、唾液腺を刺激するマッサージやエクササイズもおすすめです。エクササイズはマスク生活でこり固まった表情筋のトレーニングにもなり、ほうれい線予防にも効果的!
①唾液腺マッサージ
左右の耳の下からあご先に向け、フェイスラインの骨に沿って親指で軽くさすります。耳下腺、顎下腺、舌下腺の三大唾液腺が刺激され、5回ほど行うと唾液が出てくるのが感じられるはず。
②舌回しエクササイズ
口を閉じたまま歯の表面に舌を当て、表面をなぞるようにゆっくり舌を回します。
右回り、左回りを同じ回数行って。最初は数回でもOK、慣れてきたら回数を増やしてみましょう。口の中に多数存在する小唾液腺を刺激して、唾液の分泌を促します。
また、大きな円を描くことで表情筋も鍛えられ、ほうれい線の予防・改善が期待できます。マスクの下でもできるので、移動中や通勤時にこっそりやるといいかも!
ポイント
- ・①②ともいつ行ってもOK!
- ・背中が丸まっていると唾液腺がつぶれてしまい効果が薄れます。姿勢を正して行いましょう。
宝田先生からのメッセージ
口腔環境の改善は全身の問題として考えるべきだと思います。よく患者さんに「オーラルケアは正しい姿勢から始まる」と言っているのですが、よい姿勢でいれば正しい舌の位置を体が覚えて唾液が分泌されますし、骨盤底筋も引き上がります。
女性の美しさも同じこと。今回紹介したエクササイズのように、体の機能改善を目指す道の途中に「キレイ」はあります。まずは姿勢を正し、生活リズムを整えて、健康な体づくりを心がけましょう!