クリスマスにお正月と、イベント続きの年末年始はお酒や食事の量が増えやすい時期。体が重く感じる今こそ、「ファスティング」(断食)に挑戦してみませんか?1〜2日の短期間ならトライしやすく、体がリセットされる感覚も味わえるはず。今回はファスティングカウンセラーの今村佳奈さんに、ファスティングのメリットや取り入れ方についてうかがいました!
- Profile
- 今村 佳奈さん
- > Life is Art
Fasting Beauty Support Program「Life is Art」主宰。臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラー。自身の不調をきっかけにファスティングと出会い、その成果を伝えるべくカウンセラー資格を取得。発酵食品ソムリエ/糖質オフアドバイザーの資格も活かし、オンラインファスティング、ダイエット指導を行っている。モデルとしても活躍中。
ファスティングの
メリット
便利さを追求した現代の生活で、私たちは知らずしらず、食品添加物や残留農薬、排気ガスや金属など、体内で代謝できないものを蓄積してしまっています。ファスティングを行うことによって、こうした毒素を排出して細胞をキレイにするデトックスをはじめ、さまざまな効果が期待できます。
デトックス
胃腸を休ませることで脂肪細胞に溜まった毒素を排出しやすくし、腸内環境を改善します。本来のデトックス効果を得るには3日以上のファスティング期間が必要になりますが、1~2日であっても、細胞内の古いタンパク質がリサイクルされるクリーン効果(=オートファジー)が得られ、「長寿遺伝子」と呼ばれるサーチュイン遺伝子も活性化します。
美肌・ダイエット
腸内環境が改善されると全身をめぐる血液もキレイになり、必要な栄養がスムーズに運ばれて肌状態が改善されます。短期間でも成長ホルモンの分泌が活性化され、消化にエネルギーを使わないぶん代謝もアップするため、肌ツヤがよくなります。
また、糖質を断つと脂肪燃焼が進み、このとき肝臓から生成される「ケトン体」が糖質に代わるエネルギー源となります。このケトン体代謝はやせやすい体につながり、ダイエット効果が期待できますが、ケトン体は断食2日目以降に増えるため、ダイエットが目的の場合は、3日以上のファスティング期間が必要です。
免疫力アップ
免疫細胞の7〜8割が集まっている腸は、体内最大の免疫器官といわれています。胃腸を休ませ、それまで消化に使っていた体内酵素を代謝に回すことによって、腸内環境が改善し、免疫力がアップします。
集中力アップ
エネルギー源が糖質からケトン体に置き換わると、感覚が鋭くなり、集中力の向上が期待できます。近年はパフォーマンス向上や集中力アップを目的に、プロスポーツ選手や経営者がファスティングを実践するケースが増えています。
1〜2日間「プチファスティング」の
メリットは?
- ・固形物を摂らないことで消化疲れした胃腸を休ませリセットできる。
- ・クリーン効果が得られ、サーチュイン遺伝子のスイッチが入る。
- ・成長ホルモンの分泌を促し、肌ツヤがアップ。
- ・短期間でも体がすっきりする感覚が得られ、ファスティング未経験者でもトライしやすい。
ファスティング
Q&A
いいことづくめだけれど、まだまだ知らないことが多いファスティング。自分の体に関わることだから、まずは疑問をしっかり解消しておきましょう!
- Qいつやるのがいいの?
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A基本的にはいつ行ってもOK。デトックス効果を上げるには、生理後3日目くらいのタイミングでスタートするのがおすすめです。ただ、ファスティング中は原則、薬の服用ができませんので、生理痛がひどく鎮痛剤を使用している方は、生理期間を外して行いましょう。
- Q前後の準備はいるの?
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A健康的に行うには、前後の準備がマスト!準備期は徐々に体を慣らし、回復期は体に負担をかけないよう、ゆるやかに食事を戻していくことが重要です(詳しい内容は次項「プチファスティングをやってみよう」を参照)。
- Qファスティングに
向かない人はいる? -
A重度の貧血の方、血糖値コントロールができない(低血糖状態になりやすい)方は避けたほうがよいでしょう。また、持病がある方、常用している薬がある方は、医師にご相談ください。
- Qコーヒーやサプリは摂っていい?
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Aファスティング期間中に摂ってよいのは酵素ドリンクと水、カフェインフリーのハーブティーのみで、コーヒー、アルコール類、喫煙はNGです。コーヒーや紅茶を毎日飲んでいる方がいきなり止めると、ひどい頭痛が起こる(カフェイン離脱症状)ことがあるので、準備期間中に徐々に減らしていきましょう。サプリメントもファスティング中は摂らない方がベター。
プチファスティングを
やってみよう
いきなり本格的なファスティングはちょっと…という人も、週末中心のプチファスティングなら無理なく取り入れられるはず。ただ短期間といえども、「水だけ飲んで過ごす」といった自己流は絶対NG。前後の準備をぬかりなく、健康的に行いましょう。
前々日<金曜日>
ご飯の量は半分にし、精製された砂糖や小麦粉を避け、糖質の摂取量を減らします。頭痛の原因となるカフェインを控え、加工食品も極力摂らないように。7時間以上の睡眠を心がけましょう。さらに、1日30分程度のウォーキングなど、適度に体を動かしておくと、なお良いですよ。
前日<土曜日>
夜の食事は7分程度で済ませましょう。肉、魚、乳製品の動物性タンパク質を避け、魚以外の「まごわやさしい」(豆、ごま、海藻、野菜、きのこ、芋)食材を選んで。白米は1日で1膳程度ならOKですが、血糖値を上げにくい雑穀米や玄米がおすすめです。具だくさん味噌汁などの汁物を摂ると満足度もアップします。20時以降は食べ物は口にせず、水のみで過ごし、お酒もNG。
ファスティング当日<日曜日>
当日は酵素ドリンクと水、ハーブティーのみで過ごします。選んだ酵素ドリンクの1日の規定量を守っていれば、いつ飲んでもOK。水は1日2リットルを目安にたっぷり摂りましょう。食事以外の制限は特にありませんが、体が省エネモードになって眠気を生じやすいので、車の運転は控えたほうがよいでしょう。
◎酵素ドリンクの選び方
確かな品質の発酵飲料を選ぶことがポイント。ファスティング指導者から購入したり、ネットや店舗で購入する場合は成分表示を見て、「果糖ブドウ糖液糖」などの人工甘味料が入っていないもの、添加物の記載がないものを選びましょう。
◎ファスティングを成功させるコツ
- ・期間中は体が体温を下げようとするため寒さを感じやすくなります。マグネシウム入浴剤を入れた浴槽に15分程度浸かると、体の芯から温まります。よもぎ蒸しパッドなどもおすすめ。
- ・本を1冊読む、ヨガにチャレンジするなど、何かテーマを決めて取り組むことで、空腹のつらさを感じづらくなります。デジタル・デトックスもおすすめ。体が省エネモードになると、人間は本能的にいろいろなものを削ぎ落とそうとするので、スマホから離れ、自分を見つめ直す時間に充ててみるのもよいでしょう。
翌日以降<月曜日~>
回復食は前日と同様、野菜のおひたしや味噌汁など「まごわやさしい」食材を摂ります。主食(ごはん、パン、麺類)と動物性タンパク質(肉、魚、乳製品)は断食3日後から。おかゆも血糖値が上がりやすいので翌日は避けて。コーヒーやアルコールなどの刺激物も、3日後以降にしましょう。
今村さんからのメッセージ
不要な毒素を溜めがちな現代人に、ファスティングはマストだと考えています。悪いと思っていてもやめられない食習慣のリセットや、小食効果、味覚の正常化など、ほかにもいいことがいっぱいあります。
ファスティングは自分自身を見つめること。「食事に気を使う=体を労わること」は、自分を愛することだと思います。ためらっている方には、ぜひ一度試してみて!とお伝えしたいです。