暖かい部屋でくつろぐ時間は冬の楽しみのひとつ。そんなひと時に、アロマテラピーを取り入れてみませんか。気分や目的に合わせて香りをチョイスすれば、心も体も整い、日常をさらに豊かにしてくれるはず。今回はアロマエキスパートの小野江里子さんに、初心者でもトライしやすい精油(エッセンシャルオイル)の活用法をうかがいました!
- Profile
- 小野 江里子さん
- > アロマスクール イシス
アロマスクール イシス主宰、株式会社イシス代表取締役。「人生に潤いと豊かさをプラスするアロマ」を提案。オンラインでアロマエキスパート講座や、アロマ・セルフケアレッスン『Jibunでアロマ』を開催。近著に『薬に頼らないアロマ的セルフケアレシピ』(ソシム)。
香りで気分を変えよう
植物から抽出した精油には、心と体に働きかけるパワーが秘められています。初心者さんなら、香りの力を借りたモードチェンジからトライしてみて。目的に合わせて精油を選べば、気分が切り替わり、生活にリズムが生まれます。まずは、香りの系統とその特長をつかんでおきましょう。
フローラル系
優しい気持ちになる、華やかで女性らしい花の香り。女性ホルモンのバランスを整える作用も。
◎代表的な精油
ローズ、ゼラニウム、ジャスミン
ハーブ系
自然な草花の香り。自律神経のバランスを整え、むくみや胃の不調を改善する作用がある。イライラしている気持ちを鎮めたり、免疫力を高める作用もあり。
◎代表的な精油
ラベンダー、ローズマリー、マージョラム
シトラス系
前向きで明るい気持ちにさせてくれる、フレッシュなかんきつの香り。気持ちを安定させ、集中力を高めてくれる。胃腸の働きをよくする作用がある。
◎代表的な精油
グレープフルーツ、レモン、オレンジ・スィート
ウッディー系
自然の心地よさが感じられる木の香り。ストレスで呼吸が浅くなっている時や、多忙で気持ちが落ち着かない時にオススメ。高い抗菌作用があり、空気を浄化してくれる。
◎代表的な精油
シダーウッド、フランキンセンス、コパイバ
オリエンタル系
東洋的でエキゾチックな香り。南国でリラックスしているような、開放的な気分が味わえる。
◎代表的な精油
サンダルウッド、イランイラン、パチュリ
スパイス系
すっきりとした香辛料のスパイシーな香り。気力のないときにオススメ。胃腸の働きをよくする作用がある。
◎代表的な精油
シナモン、クローブ、カルダモン
こんなときにピッタリ!
シーン別オススメ精油
◎ポジティブに1日をスタートさせたい朝
グレープフルーツ、レモンなどのシトラス系、ジュニパー、ローズマリー
◎仕事や家事の合間にリフレッシュ
ペパーミント、オレンジ・スィート、ローズマリー
◎集中したい時
レモン、ペパーミント、ローズマリー
◎イライラする気分を鎮めたい時
ラベンダー、マージョラム、ペパーミント、イランイラン
◎頭が重く体調がすぐれない時
ペパーミント、ローズマリー、ラヴィンサラ、ティトゥリー
◎夜のリラックスタイム
ラベンダー、マージョラム、フランキンセンス、オレンジ・スィート
アロマディフューザーの
見つけ方
部屋全体に香りを広げて楽しむなら、アロマディフューザーを使うのがオススメ。ただ、種類が多すぎて何を選べばいいか分からないという方も多いのでは?タイプ別のメリット・デメリットをおさえておくと、自分に合ったディフューザーを探しやすくなります。
精油本来の香りをしっかり楽しむなら「水なし」を
一般的によく知られているのは、水で希釈した精油をミスト状にして拡散する「水あり」タイプですが、オススメは空気の振動で精油を拡散させる「水なし」タイプ。水を使わないので、雑菌やカビの混入による変質がなく、精油そのものの香りや成分を広範囲に広げることができます。お手入れが簡単な点もメリットのひとつ。
◎水なしタイプ
メリット
精油の香りと成分を損なわず、広範囲に広げる。手入れが簡単。
デメリット
水ありタイプと比べやや高価(10,000円前後)。
何が違う?
「ネブライザー式」と「ドロップ式」
水なしタイプには、精油のボトルを直接本体にセットする「ネブライザー」式と、本体に精油を垂らして使用する「ドロップ」式があります。生活スタイルや好みで選んでみて。
◎ネブライザー式
メリット
スイッチひとつで使用でき簡単、初心者にもオススメ。
デメリット
1本(1種類、またはすでにブレンドされた精油)しかセットできない、精油の消費が早い。
◎ドロップ式
メリット
精油のブレンドが可能、精油の量をコントロールできる。
デメリット
使用ごとに1滴ずつ垂らす必要があり、手間がかかる。
「タイマー付き」がマスト。
細かく設定できるものが◎
使用する部屋の広さにもよりますが、1日に取り入れてよい精油の目安は5、6滴とされています。就寝前に使用する場合など、過剰に消費しないためにもタイマー付きを選びましょう。時間や精油の使用量など、細かく設定できるタイプがオススメです。
ディフューザーと加湿器は兼用できる?
アロマディフューザーはあくまで精油を空間に広げるものであり、加湿機能はありません。アロマを楽しめる機能をうたった加湿器はありますが、本来の香りが薄れ、精油が変質するおそれもあるため、オススメしません。
精油の活用法4選
特別な道具をそろえなくても、身近なものを使って精油を香らせたり、美容や健康に役立てる方法がたくさんあります。いずれも簡単なのでぜひトライしてみて!家族やペットと同居しているので、限られた範囲で香りを楽しみたい、という方にもオススメです。
アロマストーンやティッシュに垂らす
市販のアロマストーン、もしくはティッシュに精油を数滴垂らしてデスク周りや枕元に置きます。6〜8畳程度なら部屋全体に香りが広がり、火も電気も使わずに楽しめます。使いたい場所に気軽に持ち歩けるメリットも。
手浴で体を温める
寒い朝は、足浴よりも気軽な手浴で体を温めましょう。お湯を張った洗面器に精油を数滴垂らし、立ちのぼる香りを嗅ぎながら手を浸けます。血液が巡って全身がじんわり温まり、肩こりなどもほぐれやすくなります。精油にローズマリーを使えば、相乗効果でスッキリ目覚められます。
風邪予防にマグカップで吸入
のどがイガイガする…と感じたら試してほしい吸入法です。熱湯を入れたマグカップに、抗菌作用のあるティトゥリーやラヴィンサラを1滴垂らし、目に入らないようにして鼻と口から蒸気を吸い込みます。
フェイシャルサウナ
メイクを落とした後、熱湯を張った洗面器に精油を数滴垂らし、目を閉じたまま蒸気を浴びます。バスタオルなどを頭からかぶり、蒸気が逃げないようにすると効果的。香りを楽しんでいる間に毛穴の汚れが落ち、肌のザラつきがなくなります。 精油はティトゥリー、ラヴィンサラ、ラベンダーなど皮膚刺激の少ないものを。
精油を扱う上での注意点
- ・ 精油の原液を直接皮膚につけない。皮膚につける場合は、必ず植物性のオイルで希釈してください。
- ・精油を含んだ蒸気を浴びる際は目を閉じ、粘膜に入らないようにしてください。
- ・高血圧の方は、ローズマリーの使用をお控えください。
- ・レモン、グレープフルーツ、ベルガモットなどのシトラス系精油の成分を皮膚につけた状態で日光に当たると、シミなどのトラブルが起きる可能性(光毒性)があります。外出前は使用を控えるか、フロクマリンフリー(光毒性を含まない)と明記されているものをお使いください。
小野さんからのメッセージ
アロマは「心地よく楽しむ」ことがとても大切。効能にこだわりすぎず、お店でいろいろ試して、いいな、と思える香りからトライしてみてください。精油には使用期限(シトラス系は開封から6カ月、それ以外は1年)があるので、5mLの少量から始められるといいですよ。シトラス系・ハーブ系・ウッディー系、というように、系統が重ならないものを最初は3本程度持っているとブレンドができ、香りの幅も広がります。
ぜひ気軽に楽しんでみてくださいね。